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逆恨みの咆哮 ①

last update publish date: 2026-06-14 11:10:41

 重厚な防音扉が閉まった瞬間、背後で鳴り響いていた万雷の拍手と喧騒が、嘘のようにピタリと遮断された。

 一般客の立ち入りが厳しく制限された、ホテル最上階のVIP専用通路。磨き上げられた大理石の床には毛足の長い絨毯が敷き詰められており、そこを歩む俺と凜の足音すら、静謐な空気に深く吸い込まれていく。

「見事な宣誓でした、兄さん。会場の人たち、まるで世界の終わりを見たかのような顔をしていましたよ」

 一歩後ろを歩く凜が声音に微かな熱を帯びさせて話しかけてくる。その切れ長の瞳には、俺への絶対的な信頼と敵への不敵な愉悦が宿っていた。

「あぁ。だが、ここからが本番だ。深く泳がせれば泳がせるほど、獲物は勝手に底なしの罠へとはまっていくからな」

 俺は娘の結衣が選んでくれた藍色のネクタイの結び目を少しだけ緩め、VIP控室へと向かって廊下を進んだ。

 だが、エレベーターホールへと差し掛かった、その時だった。

「ちょっと、待ちなさいよ!」

 静かな空間を引き裂く、甲高い金切り声が廊下の奥から響いた。

 振り返ると、そこには首まで真っ赤に紅潮させ、荒い息を吐く絵里香が立っていた。華やかなドレスを身に纏って
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  • 娘より間男を選んだ妻へ、無職の俺が一条財閥の後継者だと知っても、もう遅い   生け捕りの死神

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  • 娘より間男を選んだ妻へ、無職の俺が一条財閥の後継者だと知っても、もう遅い   決別 〜崩れ落ちる最後の糸〜

     俺の言葉に絵里香は鼻で笑い、周囲の経営者たちへ聞こえるほど大きな溜息をついた。「何を見間違えたのか知らないけれど、大袈裟に騒がないで。誤解よ、誤解。海外のビジネスシーンでは、これくらい当たり前の親愛の情だわ。本当に器の小さい男ね、あなたって人は」 絵里香は血相を変えるどころか、軽蔑を隠そうともせずに言い放った。「自分の無知を棚に上げて、大事な祝賀会の席で醜態を晒すなんて。恥ずかしいから、もう口を開かないで」 そこへ、横に立っていた樹が一歩前に出た。顔に張り付いた完璧な営業スマイルは、その奥の嘲笑を隠そうともしていない。「旦那様、あまり絵里香さんを困らせないでください。彼女は今、我

  • 娘より間男を選んだ妻へ、無職の俺が一条財閥の後継者だと知っても、もう遅い   一般人ごっこの終焉 〜すれ違う思いと裏切りのステージ〜

     夜八時。リビングのテーブルには、結衣の名前が書かれたバースデーケーキと、不格好なリボンが結ばれた小さな箱が置かれていた。「パパ……ママ、まだお仕事終わらないの?」 五歳になる娘の結衣が、画用紙に描いた『ママへの似顔絵』を胸に抱きしめたまま、泣き出しそうな顔で俺を見上げている。 今日は結衣がずっと楽しみにしていた大切な誕生日だ。俺は娘の頭を優しく撫でると、スマートフォンを取り出して、妻である絵里香に電話をかけた。 数回のコールの後、苛立ちを含んだ声が耳に届く。『何? 今、ホテルで重要な祝賀パーティーをしているの。用がないなら電話してこないで』「今日は結衣の誕生日だ。ケーキを買って

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